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1998 年度 実績報告書

慢性硬膜下血腫における脂質組成に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 09771061
研究機関帝京大学

研究代表者

成田 孝而  帝京大学, 医学部, 助手 (90237602)

キーワードplasmalogen / 慢性硬膜下血腫 / free radlcal / 赤血球
研究概要

これまで血腫内の脂質分析から慢性硬膜下血腫の誘因として脂質過酸化反応が関与していることが示唆された。患者の赤血球の膜リン脂質における過酸化脂質が血腫と被膜形成や増大に影響を及ぼしていることが想定されたので、赤血球膜のリン脂質とくにPE(ホスファチジィールエタノールアミン)のプラズマローゲン(PIasmalogen)に注目した。このプラズマローゲンはFree Radical発生初期にスカベンジャー作用として働き、多価不飽和脂肪酸の過酸化を阻止している。そこで赤血球のPE中のプラズマローゲン量と多価不飽和脂肪酸量を比較検討した。患者より採血した血液はヘパリン処理し血球を遠心分離しBligh-Dyer法で脂質を抽出した。総脂質は薄層クロマトグラフィーにてPEを分離し塩酸メタノールでメタノリーシスし、plasmalogen由来のdimethylacetalとester結合したPEから産生される脂肪酸メチルエステルをGLC分析した。
PEのエステル結合している脂肪酸ではアラキドン酸が約23%、オレイン酸18%、パルミチン酸17%とコントロールと比較して有意差はないが、dimethylacetal(aldehyde)はnormalは12%に対して患者9%と有意に減少していた。慢性硬膜下血腫の患者血球では膜リン脂質であるPEの中でスカベンジャー作用をもつplasmalogenの減少していることは、生体内で健常人と比較してより多くのラジカルのストレスに曝されている可能性を示唆した。このような状態(患者)が軽微な外傷を受けると脳表面の小出血の血餅周囲も容易に過酸化反応が進行し慢性硬膜下血腫形成され、血腫増大を生来したと考えられた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] M.Kubota,K.Narita,et al: "Fatty acid composition of the chronic subdural hematoma: with reference to its recurrence" Journal of Clinical Neuroscience. 5(1). 63-65 (1998)

  • [文献書誌] M.Kubota,K.Narita,et al: "Mild hypothermia reduces the rate of metabolism of arachidonic acid following postischemic reperfusion" Brain Research. 779. 297-300 (1998)

  • [文献書誌] 中根一、久保田勝、成田孝而、他: "スフィンゴミエリン・サイクルと遅発性神経細胞死" Brain Hypoxia. 12. 1-7 (1998)

  • [文献書誌] 久保田勝、成田孝而、他: "虚血性神経細胞死" 金澤一郎、吉岡亨、山下純宏(監修) サイメッド・パプリケーション(株), (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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