研究概要 |
目的;1次視皮質のニューロンは左右どちらの眼からでも単眼性に興奮し,両眼性の刺激により両眼性加重などの両眼性相互干渉(binocular interaction)を示す生理学的現象(Hubel DH,Wiesel TN:J Physiol, 1962)を視覚誘発電位(VEP)に応用し,有効性を検討した. 成果;両眼性相互干渉という視皮質ニューロンの反応特性を,VEPに応用し視交叉機能の評価を試みた。M系列を用いた非線形システム解析法(Sutter EE: Vision Res, 1992)を閃光刺激によるVEPに応用して,各種の視覚経路病変をもつ患者での臨床所見とVEPデータとの比較検討した。 1.正常成人例では、両眼性相互干渉は1番目の陰性波を潜時50msecとする3相波であった。頂点潜時及び振幅ではばらつきが多く一定の傾向を示さなかった。2.片眼の視力障害を呈する視神経圧迫病変3例では、障害型のVEP波形が得られず、また、両眼性相互干渉は、誘発されなかった。 3.両耳側半盲を呈する視交叉圧迫病変10例では、右左単眼刺激によるVEPが誘発されたが、両眼性相互干渉は、誘発されなかった。このことは視皮質ニューロンの反応特性を誘発電位より証明し得た事実である。 4.同名半盲を呈する視索以降の病変2例では、患者眼からの交差する入力が得られない為、両眼性相互干渉は、誘発されなかった。
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