当初の実験計画では、粉砕圧密した同種海綿骨の生体内におけるリモデリングを調べるために、ビーグル犬を使った動物実験を予定していたが、その予備実験として移植骨の粒子の大きさの違いによる骨の力学的強度の違いを検討した。現在臨床的に使用可能な2種のボーンミル(骨粉砕機)を使用し、移植海綿骨を準備した。ボーンミルのひとつは粉砕のための刃が往復運動をするタイプで、もうひとつは刃が回転しながら骨を砕くもので、後者に大、中、小の3つの大きさの回転刃がある。これらのボーンミルを使用して作成した海綿骨より直径10mm、高さ10mmの円柱状の試験片を作成し、インストロンタイプの力学試験機を使用して、圧縮、およびせん断試験を行った。またより臨床的な条件での力学試験として樹脂製の模擬大腿骨を使用して骨欠損モデルを作り、そこに臨床的に実際に使用されるのとまったく同じ手技で移植海綿骨を圧密し、さらにボーンセメントを使用してインプラントを固定したモデルを作成し、圧縮および回旋方向の力学試験を行った。これらの結果より4種のボーンミルの中でもっとも粉砕粒子の大きさにばらつきのある往復運動タイプのボーミルを使用して作成した移植骨が、もっとも強固な力学的特性を有していることがわかった。これらの生態力学的実験は新潟大学工学部の協力を得て行った。また結果は、日本整形外科基礎学会、日本臨床バイオメカニクス学会、国際バイオメカニクス学会、日仏整形外科学会、アメリカ整形外科基礎学会(Orthopaedic Research Society Meeting)、日米欧加整形外科基礎学会(Combined Orthopaedic Society Meeting)、にて発表した。また当初予定していた動物実験の準備も、動物用インプラントを作成するなど、進めている。
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