樹上細胞が強力なTリンパ球活性化作用を有することは以前から知られていた。しかしながら、抗原提示細胞としての機能は軽視され、マクロファージやBリンパ球を中心として現在まで研究がなされてきた。今回我々は、慢性関節リウマチ滑膜細胞より樹状細胞の採取および培養・調製後、以下の実験を行った。 1、滑膜細胞より低密度培養破砕収集法により樹状細胞を収集し、樹状細胞膜上のHLA-DR抗原の発現を確認したところ、約95%に発現が確認された。 2、この細胞にM-CSFを添加するとマクロファージ様細胞に分化し、GM-CSFおよびTNF-αを投与すると樹状細胞へ分化した。この細胞を1nMのGM-CSFと共に3週間培養すると樹状細胞クローンが得られた。 3、この細胞をサブスタンスP(1nM)にて前処置した群と前処置しない群に分け、両群間における貧食能(^3Hラベルparticle)を比較したところ、サブスタンスP前処置群は有意に貧食能が亢進していた。 4、樹状細胞クローンの培養上清中のインターロイキン(IL-1)産生量をサブスタンスP処置群と未処置群で比較したところ、処置群での産生量は有意に亢進していた。 以上の結果より、慢性関節リウマチの病態生理において重要な役割を果たしている樹状細胞の貧食能、抗原提示能およびサイトカイン産生能のいずれにおいてもサブスタンスPは有意に亢進させる可能性が示唆された。
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