研究実施計画に基づいて今回新しくトレッドミル用垂直荷重負荷調節システムを開発した。免荷は米国クイントン社製ニューウェイトを、荷重負荷にはOG技研製トレッドミル用荷重負荷装置(特注)を用いて垂直荷重負荷および歩行スピードは任意に調節できるようにした。次年度に向けてのパイロットスタディとして、健常若年男性7名(19.4±1.7歳)について、免荷歩行(体重の-40%、-20%)、無負荷歩行、荷重歩行(体重の+20%、+40%)を行わせた。トレッドミルのスピードは時速3km 4km 5km 6km 7kmとした。ミナト医科製呼吸代謝測定装置(AE-280SRC)を用いて酸素摂取量を分析した。さらに、Nicolet Viking IV筋電計を用いて種々の条件下で脊柱起立筋の筋活動を分析した。全体の傾向としては酸素摂取量、脊柱起立筋の筋活動ともに荷重がお大きれば大きいほど、歩行スピードが速ければ速いほど増大する傾向を示した。具体的には、酸素摂取量は体重の-20%の免荷歩行(4km/h)では10.8±1.4ml/kg/min、無負荷歩行(5km/h)では14.0±1.1ml/kg/min、体重の+20%の荷重歩行(6km/h)では19.2±2.5ml/kg/minであった。脊柱起立筋の筋活動は荷重歩行では荷重が大きれば大きいほど、歩行スピードが速ければ速いほど増大する整った傾向を示したが、免荷歩行時にはハ-ネスによる牽引作用で予想されるよりも若干大きな値をとり、歩行スピードによる変動も少なかった。本研究で用いた垂直荷重負荷調節システムを用いれば、被験者の状態に応じて垂直荷重負荷と歩行スピードが任意に調節可能になり安全に運動負荷が行えることが確認できた。
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