ビタミンD、Kで骨肉腫細胞(MG63)を刺激し、細胞が分化することをオステオカルシンの産生・PICPの産生・アルカリフォスファターゼ活性を測定することによって確認した。また細胞増殖速度が低下することをMTTassayにて確認した。さらに、細胞周期を解析し、GO期からS期への移行が阻止されていることがわかった。また、その際p21が発現することをRT-PCR法にて確認した。この時点でビタミンD、Kはp21を介して骨肉腫細胞の細胞増殖を抑え、分化誘導することが示唆された。次にこの仮説を確認するためにビタミンD、Kの存在しない条件でアデノウィルスをヴェクターとしてp21を細胞にtransfectionさせ細胞が分化するかどうかを調べた。オステオカルシンの産生・P1CPの産生・アルカリフォスファターゼ活性を測定することによって細胞が実際に分化することを確認できた。次にビタミンD、Kの刺激を1週間以上継続すると細胞が徐々に死んでいくことに着目し、その形態を観察したところ、その細胞死がアポトーシスではないかと推測された。これを確かめるために、電子顕微鏡的観察・細胞周期の解析を行った結果、アポトーシスであることが分かった。しかもアポトーシスが出現する時期に一致してp21が消退することも分かった。以上の結果から、ビタミンD、Kはp21を介して骨肉腫細胞の細胞増殖を抑制、分化を誘導し、p21の消退とともに細胞はアポトーシスを起こすことが結論づけられた。
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