1、骨検体の採取と処理。末期股関節症に対する人口股関節手術時に採取した10名分(全例女性:55才〜72才)の臼蓋上縁、煎縁および後縁の骨棘を4%パラホルムアルデヒド溶液で2日間固定した後脱灰し、エタノール脱水後パラフィン包埋した。同様にして初期股関節症に対する寛骨臼蓋回転骨切り術の際に得られた3名分(全例女性:23才〜30才)の臼蓋上縁、前縁および後縁の骨組織をパラフィン包埋した。 2、今後の予定。(1)人工股関節手術および寛骨臼蓋回転骨切り術の際の骨棘および骨組織採取を継続する。(2)ミクロトームを用いて、薄切切片を作成し、免疫組織染色法を用いて、骨細胞ならびに骨芽細胞の骨形成の指標としてオステオカルシン、NO発生の指標としてNO合成酵素およびInsulin-like Growth Factor-1(IGF-1)の骨棘組織での存在様式を検討する。(3)In situ hybridization法を用いて、オステオカルシン、IGF-1、NO合成酵素および可溶型guanylate cyclase遺伝子の発現様式を観察する。(4)これらの細胞間情報伝達物質ならびにそれぞれの遺伝子の発現様式と臨床所見・X線所見等の個人情報との関連を検討する。(5)すべての実験結果をまとめ、解析し、骨棘形成前(寛骨臼蓋回転骨切り術の際に切除して得られた骨組織)と後(人工股関節手術時に切除して得られた骨棘)では骨細胞動態と細胞間情報伝達物質およびその遺伝子発現にどの様な相違があるかを整理し、骨棘形成のメカニズムを考察する。
|