モルモット心室筋単離細胞においてATP感受性カリウムチャネルの存在の有無を確認するため、全細胞膜電位固定法を用いてカリウム電流を測定したところ、ニコランジルの適用下においてカリウム電流の増大がみられ、ATP感受性カリウムチャネルの存在が確認された。 次に、インサイドアウトパッチクランプ法を用いてATP感受性カリウチャネルを単一チャネルレベルで観察した。ATPを全く含まない灌流液を適用したところ、ATP感受性カリウムチャネルの活性化が見られた。この活性化は灌流液内にATPを添加することにより抑制された。また、低濃度ATPを含む細胞内液の灌流下にてセボフルラン(1%)を適用することによりATP感受性カリウムチャネルの活性化が観察された。 従って、心筋が虚血に陥り細胞内のATPが枯渇すると、ATP感受性カリウムチャネルが活性化し細胞内からカリウムイオンを細胞外へ出すことにより細胞膜の過分極を引き起こし、結果として細胞の興奮性を低下させることにより細胞保護作用を発揮するのではないかと推察された。
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