雄ウィスター系ラット(200-250g)の内皮除去胸部大動脈螺旋状標本を用いた。標本をクレブス溶液中に懸垂し、フェニレフリンで収縮させた後、ニトログリセリン(NTG)もしくはニトロプルシド(SNP)を累積的に添加し濃度弛緩反応を等尺性に測定した。 1)3時間おきに12時間後まで計5回NTGあるいはSNPで弛緩反応を繰り返すと、NTGの反応が減弱したが、SNPには変化はみられなかった。その後、交差耐性の有無をみると、NTGに対して耐性を示した血管ではSNPに対しての交差耐性はみられなかったが、SNPに対して耐性を示さない血管ではNTGへの反応の減弱がみられた。 2)リポポリサッカリド(LPS)存在下で12時間培養した標本ではNO合成酵素が誘導され平滑筋細胞内NO濃度が増加するが、このときNTGの反応は減弱したが、SNPには変化はみられなかった。L-アルギニン(LA:NOの基質)同時培養のものではNTGの反応はより減弱しさらにSNPも減弱した。シクロヘキシミド(CX:タンパク合成阻害薬)、NG-ニトローL-アルギニン(NOARG:NO合成酵素阻害薬)の存在下では両者ともに処理前と比べ変化はなかった。 これらの結果により、NOがNTG代謝酵素、グアニレートシクラーゼの両者に抑制的に働き、NTGの耐性発現に関与していることが示唆された。
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