今年度予定していた実験は、実験用のポジトロン断層撮影装置(PET)の稼動が遅れているため、実験モデル動物作成の研究を中心におこなった。また臨床面で実際に稼動しているPETで臨床面からの検討を行い、注目すべき部位の検討を行った。星状神経節ブロックをブロックすることによって、当初予想されている自律(植物)神経系の上位中枢である視床下部ばかりでなく、頭痛をはじめとする疼痛に関しても有効なことから、慢性の疼痛患者の臨床研究から得られた結果から、さらに視床・側頭葉茸状回、前帯状回等にも観察範囲を広げるべきと考えられた。また当初麻酔薬と予定していた塩酸ケタミンは、今回ケタミンを持続点滴した結果から、ケタミン投与前後で視床等の血流が変化することが観察され、純粋に星状神経節を刺激したり局所麻酔薬でブロックした場合の脳血流量等の観察をおこなううえで不適当と考えられた。ネンブタール、チオペンタールなどの静脈麻酔薬や吸入麻酔薬も視床をはじめとする中枢神経系に影響をおよぼすため、実験動物の麻酔を考慮した上で測定を行わないと、測定結果が意味するものが変わってくると考えられた。動物実験モデルの検討においては、星状神経節を切除することと、星状神経節を局所麻酔薬でブロックすることは臨床面にフィードバックする面で違う意味合いを持っていると考えられ、臨床面からも星状神経節ブロックを行った場合の検討を同時に進めていく必要があると考えられた。
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