ウィスター系ラットの脳室内に大腸菌由来エンドトキシンを0.01mg/kg-1 mg/kg投与した。その後の脳皮質血流を連続的にレーザードップラー血流計にて測定した。その結果、エンドトキシンの投与量(濃度)依存性に脳皮質血流は時間とともに増加することが見い出された。その増加度は、最高で3倍近くに上った。動脈血圧は低下せず、本投与法の体循環へのエンドトキシンの漏れは少ないことが示唆された。今後、血中及び脳脊髄液内エンドトキシン濃度の測定の必要性があると思われる。 続いて、脳を摘出し皮質のみのホモジネートから蛋白を分離、誘導型酵素である、一酸化窒素合成酵素及びプロスタグランヂン合成酵素の蛋白発現をイムノブロッテング法にて確認実験をおこなった。具体的には、一次抗体をブロットさせ、その後二次抗体をインキュベートしECL法にてエックス線フィイルムに焼き付けた。その結果、未処置群のラットには発現していなかった、上記の二つの誘導型酵素がどちらも発現していることが示された。今後、この発現の程度を定量化する必要性があると思われた。 次に薬理学的に酵素の活性を抑えようと特異的な阻害薬、アミノグアニジン及びNS398を投与した。最初に示した、エンドトキシンの投与後の脳皮質血流増加は抑えられている傾向があった。今後、更に数を増やすことと、デキサメサゾンの投与後の変化の検討、最も鋭敏に活性の測定が出来る方法の確立が必要なことが判明したため、現在施行中である。
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