1.腹部大動脈瘤切除再建手術中の局所左心室壁運動、および心機能に与える影響を経食道心エコーの新しい解析法であるCK(Color Kinesis)を用いて明らかにするため、当該研究により独自に解析ソフトを開発した。この解析ソフトを用いて経食道心エコーから得られたCKの画像を解析処理して腹部大動脈瘤切除再建手術における心筋虚血発生メカニズム、および大動脈遮断および遮断解除時の心機能に与える影響を調べた。心筋虚血および心機能に関してはCKを用いた解析法を独自に開発した解析ソフトを用いて確立することができた。 2.1.と平行して、腹部大動脈瘤切除再建手術予定患者で臨床研究を行った。術前の心負荷試験の1つのジピリダモ-ル負荷心筋シンチで予想された心筋虚血部位と同部位に大動脈遮断および遮断解除時に局所壁運動を生じるか否かを客観的に評価することで術前ジピリダモ-ル負荷心筋シンチの意義を再評価した。これまでの解析結果では術前のジピリダモ-ル負荷心筋シンチで陽性であった患者群のうち、腹部大動脈遮断によりその部位に一致して左心室壁運動異常を生じた症例が一部の患者で観察された。術前に心筋虚血が見られなかった患者群では壁運動異常は発生しなかった。ただし症例数が少ないため今後検討を重ねていく必要がある。 3.術前の心機能障害の有無による大動脈遮断時の壁運動異常の発生については症例数が少ないため現段階では評価ができず、今後検討を重ねる必要がある。
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