研究概要 |
1年目に確立したα 1-acid glycoprotein(以下AGP)の精製方法を用いて、標準AGPおよび健常人、患者血漿を精製したところ、精製のためのHPLCにおいて、ある程度糖鎖が分離でき、この段階でいくつかの糖鎖変化が推測できることがわかった。呼吸不全患者の血漿を精製すると15minのピークの前に別のピークが現れ、健常人と異なることが明らかとなった。(このピークの糖鎖構造について調べてみると、2本鎖が多いことが明らかとなった。) ヒドラジン分解による糖鎖の切り出し、ABOE化、逆相カラムを用いたHPLCによる糖鎖構造解析を行ったが、シアル酸とフコースを持つシアリルルイスx糖鎖を直接逆相カラムで解析することができないので、まず、シアリダーゼによりシアル酸を除去してから逆相カラムにかけて分枝鎖の数によりわけて、比較したところ、呼吸不全の患者では2本鎖が非常にふえていることがわかった。その時間的変化について,今後進めていく予定である。シアリルルイスx糖鎖は、セロトニンカラムを用いてまずシアル酸の数で分け、各々についてさらに逆相カラムで分けたものを、フコシダーゼでフコースをはずしたものと比較してそのピークを推定したところ、呼吸不全の患者においては、その比率が健常人に比し増加していた。 今回、精製時の緩衝液、HPLC移動相のpHの安定性、ハイドロキシアパタイトカラムの再現性および耐久性、脱塩、濃縮装置の不備などの問題点により計画通り研究が進まなかったが、、引き続きAGP糖鎖の炎症における役割(好中球接着因子に対する効果)を明らかにする研究へと発展させていく予定である。
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