研究概要 |
平成9年度はハロタンのiNOS誘導抑制作用におけるadenylate cyclase-cAMP系の関与を等尺性張力変化より検討した。 1)IL-1β(20ng/ml)の5時間曝露によって大動脈のフェニレフリン(PE)収縮は抑制された。抑制されたPE収縮反応はL-NA(N^G-nitro-L-arginine,3×10^<-5> M)投与によりコントロールレベルに回復した。IL-1β(20ng/ml)の5時間曝露によって大動脈のcGMP含量は著明に増加した。このことから、IL-1β曝露により大動脈平滑筋内で誘導型NO合成酵素(iNOS)が誘導され、cGMPの増加により血管収縮が抑制されることが明らかになった。 2)IL-1β(20ng/ml)およびハロタン4MACの5時間同時曝露によって、IL-1β曝露によるPE収縮力の低下は抑制された。また、IL-1β曝露により増加した大動脈のcGMP含量はハロタンの同時曝露により有意に低下した。このことから、ハロタンはIL-1β曝露によるiNOS誘導を抑制することが明らかになった。 3)IL-1βによる収縮抑制は2′,3′-dideoxyadenosine(DDA 10^<-5> M)の同時曝露によって部分的に阻止された(p<0.05)。ここでDDA(10^<-4> M)の曝露によってもさらなる阻止効果は得られなかった。 4)フォルスコリン(10^<-5> M)の同時曝露はIL-1βの効果を有意に増強した(p<0.01)。 5)IL-1β(20ng/ml)、DDA(10^<-5> M)、およびハロタン4MACを5時間同時曝露により、IL-1βの効果に対するDDAの抑制作用は有意に増強された(p<0.01)。 6)以上の結果から、血管平滑筋におけるIL-1のiNOS誘導においてadenylate cyclase-cAMP系が寄与していることが示された。また、ハロタンによるiNOS誘導の抑制機構がadenylate cyclase-cAMP系を介したものでないことが示唆される。
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