研究概要 |
上記研究は、膀胱癌の手術摘出標本をもとにした遺伝子変異の基礎的データを集積し,その臨床的所見との関連を検討することで、診断、治療に一定の指針を与えることを目的としている。現在、手術摘出標本、BCG膀胱内注入療法患者の自然尿、洗浄尿等の検体を集積し、遺伝子変異の解析に着手している。また、細胞の不死化に関与するテロメラーゼのELISA法による検出も行っており、これらの解析により、癌の浸潤やアポトーシス、また、テロメラーゼ活性の消失を誘導することによる治療法に対する基礎的な知見が得られるものと考えられる。 テロメラーゼ活性の検出は診断に有効な方法であり、テロメラーゼ活性とBCGの作用機序との関連性について、現在、追跡期間は短いが、経尿道的膀胱腫瘍切除術後のBCG膀胱内注入療法においてテロメラーゼ活性の検出を行っており、BCG注入により活性化が低下した例があり、引き続き経過観察を行っている。さらに、ヒト膀胱癌細胞株を用いたin vitroでの解析の結果、BCGはテロメラーゼ活性を有意に低下させることが明らかとなった。BCGの効果をテロメラーゼ活性を含めた作用機序の面から解析することは、基礎的な知見、臨床的指針を得る上で有用であると思われる。 また、テロメラーゼ活性の検出は、現在ELISA法で定量化できるようになっているが、高コストな上に、操作が煩雑であり、ELISA法でのステップの簡略化、、省コスト化に向けて条件検討を行った結果、1/3への省コスト化、操作時間の2時間の短縮が可能となった。
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