研究概要 |
褐色細胞腫の良性、悪性の鑑別診断はきわめて困難で、今までその鑑別のために様々な検討がなされてきた。当研究では、褐色細胞腫で明らかな変異が報告されているp53遺伝子,RET遺伝子,VHL遺伝子に関して、良性及び悪性褐色細胞腫につきその変異の検討を行い、その鑑別のための遺伝子レベルでの診断基準を定めることを目的とした。 平成9年度は研究計画書に記載したとおり、実験系の確立を目的として実験を行った。 1)p53遺伝子:p53遺伝子の変異が確認されている膀胱癌細胞株KU-7につきPCR-SSCP法によってその遺伝子変異を確認する。Linらの方法(J Clin Endocrin Metab,1994)に従いプライマーを作成しPCR法を、さらにOritaらの方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989)に基づきSSCP(single strand conformation polymorphism)法を行った。 2)RET遺伝子:武越らによって報告され(臨床病理補冊,1995)RET遺伝子の変異が確認されている標本を用いて、Ederyらの方法(Nature,1994)に従ってプライマーを作成し、同様のPCR-SSCP法を行った。 3)VHL遺伝子:Shuinらによって報告され(Cancer Res.,1994)VHL遺伝子の変異が確認されている腎細胞癌の標本を用いて、Shuinらの方法(Cancer Res.,1994)に従いプライマーを作成して同様のPCR-SSCP法を行った。 以上の1)2)3)によりそのバンドの移動度の異なることを確認した。 さらにそれぞれにつき今年度Direct DNA sequencingを行い、その変異およびその位置を確認する予定である。
|