細胞老化、不死化に関与する遺伝子を同定するために、我々は婦人科腫瘍を材料に用いて癌組織と正常組織からtotal RNAを抽出し、9つのdT11VVプライマーと200個のarbituaryプライマーを用いてDifferential Displayを行い、癌組織と正常組織で発現の異なる13個の遺伝子の同定をおこなった。本年度はそのうちの今回同定したIGF-II遺伝子の婦人科腫瘍組織における発現動態を検討した。19種類の婦人科腫瘍細胞株を用いた解析では21%がinformativeでありそのうち75%でゲノム刷り込みの弛緩現象が観察され、それら全例がIGF-II遺伝を過剰発現していた。さらに実際の婦人科腫瘍組織での検討では、子宮頚癌では13%がinformativeでありそのうち100%でゲノム刷り込みの弛緩現象が観察され、子宮体癌では31%がinformativeでありそのうち20%でゲノム刷り込みの弛緩現象が観察され、卵巣癌では47%がinformativeでありそのうち13%でゲノム刷り込みの弛緩現象が観察された。
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