研究概要 |
幼若ラットをゴナドトロピンで刺激した後、48時間後に摘出した卵巣より卵胞を採取し、無血清培養液中で卵胞器官培養を行なうと、24時間後に顆粒膜細胞のアポトーシスによるDNAの断片化が生じることを確認した。DNA3′-end labeling法の応用によるアポトーシスの半定量的評価法を用い、この現象を定量的にとらえるとともに、この実験系を用いて、卵胞におけるアポトーシスを制御する以下の因子を解析し、そのメカニズムも明らかにしつつある。また関連研究で対外培養によって発育した初期胚はグルコース取り込み能発達が遅延し,これはGLUTの発現の障害によるものであり,これらの胚は体内で発育した胚に比べ着床能が低いという結果を得た.体外培養の条件に問題があると考えられる環境因子や生理活性物質の検定を行ったところ増殖因子であるepidermal growth factorがGLUTの発現を促進し,グルコース取り込みを亢進し着床能も増加させ,生理活性物質であることが明らかになった.また,凍結融解が初期胚の成熟分化にもたらす作用に関する研究において,凍結融解はグルコース取り込み機構の発達経過を一部障害し,このことが初期胚の発育生存能を減じている要因となっていることを示唆する所見を得た。
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