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1997 年度 実績報告書

子宮頸部悪性腺腫の生物学的特性を利用した診断法樹立の試み

研究課題

研究課題/領域番号 09771261
研究機関信州大学

研究代表者

塩原 茂樹  信州大学, 医学部, 助手 (30235501)

キーワード頚部腺癌 / 悪性腺腫 / エストロゲン受容体 / プロゲステロン受容体 / サイクリン / cdk
研究概要

子宮頚部悪性腺腫は頸部腺癌の中でも極めて高分化型の腺癌で、形態的には正常子宮頚管腺と非常に類似しており、組織学的診断もしばしば困難であるにもかかわらず、放射線治療や抗癌剤に対して非常に抵抗性であり臨床的には非常に悪性な疾患である。しかしながら本疾患が比較的稀な疾患であることもありその生物学的・分子学的特徴は殆ど知られていない。我々はこの悪性腺腫の生物学的な特徴を形態的に類似している正常子宮頚管腺と比較することによって明らかにするために、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)の発現を観察したところ、正常頚管腺では両者陽性であったが、悪性腺腫ではその発現は陰性であった。さらにこのER、PRの陰性化が正常頚管腺の悪性化の過程の中でいつ起きるかを検討するために、頚部腺癌の前癌状態であると考えられる腺異形成で検討したところこの段階で既にER、PRは陰性化しており、これら受容体の陰性化は悪性腺腫においても比較的初期におこる変化と考えられた。また増殖中の細胞を認識するKi-67抗原の発現を正常頚管腺と悪性腺腫とで比較したところ、悪性腺腫ではKi-67抗原陽性細胞が増加していた。このことから、細胞周期調節因子の一つで細胞の増殖を賦活すると考えられるサイクリン及び、サイクリン依存性燐酸化酵素(cdk)の発現を観察したところ各種サイクリン(E,A,B)およびcdk(cdk2,cdk4,cdc2)の発現が正常頚管に比較して著明に増強していた。これらの事から、悪性腺腫ではその発生過程の初期から性ステロイド受容体を失うとともに、各種サイクリン、cdkを発現させて活発な増殖能を獲得する事、言い換えれば正常な性ステロイドによる増殖制御から逸脱し、悪性腫瘍としての強固な自立能を獲得している事が考えられた。

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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