子宮頚部悪性腺腫は頸部腺癌の中でも極めて高分化型の腺癌で、形態的には正常子宮頚管腺と非常に類似しており、組織学的診断もしばしば困難であるにもかかわらず、放射線治療や抗癌剤に対して非常に抵抗性であり臨床的には非常に悪性な疾患である。当教室では悪性腺腫の生物学的特徴として以前(i)エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体の消失、(ii)サイクリン、サイクリン依存性燐酸化酵素等の細胞周期調節因子の異常発現(iii)正常頸管腺ではみられない胃型粘液の発現、等の知見を見出している。昨年は悪性線腫の生物学的特徴を更に明らかにするために、卵巣の粘液産生腫瘍(胃型粘液を産生する)でしばしばその異常が報告されている癌遺伝子K-rasの点突然変異の有無を組織切片より抽出したDNAを用いたPCR法にて観察したところ、悪性腺腫の約60%に癌遺伝子K-rasの点突然変異が観察された。現在このK-rasの点突然変異のが悪性腺腫の早期診断法となりうるかを検討するために子宮膣部の細胞診検体を用いたK-rasの点突然変異の検出法を検討中である。さらに胃型粘液を特異的に検出する抗体(HIK1083)が確立されたことに伴い、悪性腺腫の早期診断法開発の試みとして、この抗体を用いた頸管粘液中の胃型粘液の検出法(ラテックス凝集法)の開発した。この方法により悪性腺腫患者の頸管粘液中に胃型粘液が検出されたため、現在陰性対照として正常婦人の頸管粘液中の胃型粘液を測定し、正常値の設定を試みている段階である。
|