1. 胎盤増殖因子(PIGF)第1エクソンに含まれる230bpフラグメントをラベリングし、これをプローブとして、ヒトゲノムライブラリーよりスクリーニングを行った。1、000、000のファージから開始し第3次スクリーニングを経て6個のファージをクローニングすることに成功した。制限酵素地図より、これらは互いにoverlapしていると予想された。次いで、それぞれのファージからDNA抽出を行いシークエンス解析及びプロモーター活性測定を順次施行中である。更にFoot print法及びgel shift assay法を行いPlGF発現に重要と予想される転写因子を検索するため、現在、胎盤、絨毛癌細胞、肝細胞などより核蛋白抽出を行っている。 2. PlGF免疫測定系を用い、正常妊婦153例、胞状奇胎患者13例の血清中PlGF濃度を測定した。結果は正常妊婦では妊娠初期7週に67.8 pg/mlのピークを持ち以下漸減し、妊娠中期以降では平均8.5pg/mlとほぼ測定感度付近で一定であった。これに比し、胞状奇胎患者では同時期の正常妊婦に比べ血清PIGF濃度は有意に高値を示し平均272pg/mlであったが、続発性絨毛疾患である侵入奇胎の発生と血清PIGF濃度は相関がなかった。 3. 定量的RT-PCR法により測定した胞状奇胎組織中のPlGF mRNA量が続発性絨毛疾患の発生予知に有用かどうか検討したが、続発率とPlGF mRNA量の間に相関関係は認めなかった。
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