1)着床期の血中のVEGF濃度の測定 着床因子としてVEGFが必要であるとの仮定を証明するために、体外受精一胚移植を受けた患者の血清を用い、ラジオイムノアッセイにてVEGF濃度を測定した。その結果、胚移植後5日日の時点で患者の血中VEGF濃度は、着床が成立した症例で91.8+一40.0pg/mlであり、着床しなかった症例の62.9+-20.7pg/mlに比し、有為に高値であることが分かった。また、胚移植後12日日の血中VEGF浪度は、着床症例で、97.7+-42.2pg/mlと増加したのに対し、着床しなかった症例では56.1+-22.0と減少傾向を示した。 2)頚管粘液中のVEGF濃度の測定 上記の症例について、着床の起こる子宮内膜でのVEGF濃度を反映する指標として、頚管粘液中のVEGF濃度を測定した。VEGF濃度は936pg/mlから10725pg/mlと、いずれの症例でも血中に比してはるかに高かった。 3)正常子宮内膜でのVEGFmRNAの確認 子宮内膜でのVEGF発現の証明として、手術による摘出子宮から内膜組織を得て、VEGFmRNAのノザンブロッティング法による確認をした。また、将来的に微量な検体でのVEGFmRNAの発現を調べるための予備実験として、定量的RT-PCR法を実施し、ノザンブロッティング法との相関を調べた。
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