トロホブラストの分化に伴うhCG-α遺伝子の転写活生化に必要なhCG-αプロモーター上のcis-element及びtrans-elementの同定のために、まず種々の長さのhCG-αプロモーターにCATリポーター遺伝子をつないだdeletion mutantを作製した。それらをRcho-1細胞に安定導入し、得られた細胞に上皮成長因子(EGF)を作用させCAT活性を測定した。EGFを6日間作用させたところ2.7倍のhCG-α遺伝子転写活性の上昇が認められたが、deletion mutantを用いた検討によりCRE(cAMP response element)が、hCG-αプロモーター上のEGF応答領域であることを明らかとした。さらに、CREにmutationを入れたhCG-αプロモーター・CATリポーター遺伝子を用い、EGFによるhCG-α遺伝子の活性化におけるCREの重要性を確認した。次に、EGF応答領域に結合する転写因子の解析をゲルシフト法、ウエスタン法、サウスウエスタン法にて行ったところ、CREB(CRE-binding protein)がEGFによるhCG-αプロモーター活性化に関与していることが判明した。さらにその活性化には、Protein kinase C pathwayを用いたCREBのリン酸化機構が重要であることも明らかとした。以上より、トロホブラストの分化に伴うEGFによるhCG-α遺伝子の活性化機構の詳細が明らかとなった。
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