1.retinoic acidの各細胞の増殖能に及ぼす影響 子宮頚部由来初代培養細胞(円柱上皮由来、扁平上皮由来)、HPV16、HPV18-DNAによる不死化細胞株(円柱上皮由来、扁平上皮由来)、子宮頚部腺癌株(OMC-4、CAC-1、TMCC-1、HeLa)、子宮頚部扁平上皮癌株(SiHa、ME180、HT-3)のそれぞれの細胞1×10^5個にall-trans retinoic acidを0、1μmol/L添加培養し4日目、7日目、10日目に細胞数を計測した。初代培養細胞株にはいずれも強い増殖抑制効果を認めた。不死化細胞株においても、円柱上皮由来、扁平上皮由来いづれも増殖が抑制された。子宮頚部扁平上皮癌株も、いづれも強い増殖抑制効果が認められた。一方、子宮頚部腺癌株においては、その増殖抑制効果は弱く、また分化度の高いものほど抵抗性を示した。これらのことより、腺系の細胞においては、その悪性化の途中においてretinoic acidに対する抵抗性が獲得されたものと思われた。 2.retinoic acidの分化能に対する効果 それぞれの細胞にcollagen gelを用いたorganotypic epidermal raft culture systemを行い、all-trans retinoic acidを培地に添加して13日間培養した。培養終了後、collagen gelを回収し、H-E染色で組織像の変化を調べた。扁平上皮系の細胞は、通常では角化傾向を認めるなど扁平上皮への分化が認められたが、retinoic acidの添加でそれが抑制された。また、腺系の細胞でもその三次元構造構築の抑制が認められた。
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