1. Interferon-α(IFN-α)とretinoic acid(RA)の各細胞の増殖能に及ぼす影響 それぞれの細胞にInterferon-αを1000IU単独あるいはall-trans-retinoic acid 1 μ mol/Lと併用して添加培養し、その増殖能に及ぼす影響を調べた。IFN-α単独では扁平上皮由来不死化細胞株で約40%増殖を抑制したが、円柱上皮由来不死化細胞株では15%しか抑制できなかった。RAとの併用では、それぞれ90%、95%抑制され、その併用効果は特に扁平上皮由来化細胞株で著名に認められた。扁平上皮癌細胞株では、IFN-α単独でも80%程度増殖を抑制し、RAとの併用効果も認められた。一方、腺癌株では、IFN-αはRAに抵抗性を示した細胞でも30-40%の増殖抑制効果が認められ、併用効果も認められた。 2. IFN-αとRAの分化能に及ぼす影響 それぞれの細胞にIFN-αあるいはRAを培地に添加して、三次元培養を行った。培養終了後、collagen gelを回収しH-E染色で組織像の変化を調べた。扁平上皮由来不死化細胞株では、RAで分化の抑制が認められたが、IFN-αではその三次元構築の抑制が認められるのみだった。円柱上皮由来不死化細胞株でも同様の傾向が認められた。 3. アポトーシスとの関連 三次元培養で得られた組織標本において、in situ apoptosis detection kitでアポトーシスを検討した。どちらの不死化細胞株においてもIFN-α添加によりアポトーシスの誘導が確認された。RAでは、その効果は認めなかった。 *このようにIFN-αとRAを併用することで、前癌病変同様、腺癌にもその治療効果が期待できるものと思われた。IFN-αの作用機序にはアポトーシスの関与が示唆された。
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