子宮内膜細胞は大きく腺細胞と間質細胞に分けられるが、間質細胞は多くの細胞外成分に囲まれて存在しており、その中には血管内皮細胞も存在する。それ故、間質細胞は血管内膜細胞から産生される種々のメディエーターにより影響を受けることが十分考えられる。 これまで我々は、サイトカイン刺激による子宮内膜間質細胞のプロスタグランジン(prostaglandin;PG)産生について研究し、サイトカイン、特にIL-1βが、無添加のコントロール群と比較して、間質細胞のPGE_2産生を濃度依存性に増加させることがわかっている。我々は子宮内膜間質細胞に着目し、間質細胞の時と脱落膜化した時点での細胞機能の評価の一つとしてのPG産生能を検討するため、細胞培養系を用いてエストロゲン、プロエストロゲンを作用させ脱落膜化させることで、リン脂質からアラキドン酸を遊離する酵素であるホスホリパーゼA_2、アラキドン酸からPGに変換する酵素であるシクロオキシゲナーゼの発現及びそれらの活性におよぼす影響をみている。なお、脱落膜化の指標としては、培養上清中のプロラクチン濃度の上昇でみている。また同様に、子宮内膜間質細胞における、血小板活性化因子(Platlet-activating factor;PAF)の脱落膜化に及ぼす影響および脱落膜でのPG産生能についても検討中である。その他では、線維芽細胞において、PGE_2は、血管内皮細胞を増殖させる作用のある血管内皮細胞増殖因子(vascular endotherial growth factor;VEGF)を産生する事が報告されているが、子宮内膜間質細胞におけるVEGFの産生に関しても検討中である。
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