研究概要 |
1 超音波断層法により臍帯静脈を描出し,超音波pulsed Doppler法により臍帯静脈血流速度波形を記録した。また,超音波pulsed Doppler法のsampling volume近傍における臍帯の走行条件について検討を加えた。その結果,通常は速度が一定な定常流である臍帯静脈血流が局所的に拍動性を示す現象(以下局所的pulsation)と称する)は,臍帯の急激な屈曲部位または胎児や子宮壁によって圧迫されている部位において発生していることを明らかとした。この結果,臍帯静脈pulsationは臍帯局所循環障害と密接な関係があることが明らかとなった。 2 臍帯静脈血流信号のスペクトラムより取り出した信号の解析により,ドプラ周波数の最頻値およびその-5dB値の周波数変化について検討した。その結果,両者の波形について明らかな差はないと考えられ,今後の検討において,前者の曲線を用いて検討することを決定した。 前項の方法により,局所的臍帯循環障害に起因すると考えられるpulsationと胎児心不全時にみられるpulsationについて,その周波数変化および心周期における時相上の差異について検討すべく症例の蓄積中である。なお,後者についてはより精度の向上を図るため,胎児心電図との同時記録プログラムの作成中である。
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