転移抑制物質として期待されるConophyllineの生物学的特性を解析するために子宮体癌培養細胞を用い、下記のような実験を計画し結果を得た。 子宮体癌培養細胞株(SNG-II、Ishikawa)をConophylline添加群(濃度0.03μg/ml〜0.3μg/ml)と非添加群とに分け、細胞増殖能に与える影響を検討したところ、細胞増殖を抑制しない濃度において、細胞形態学的には糸状突起様の変化がみられ、また固相化したマトリゲルへの接着能やBoyden Chamberを用いたin vitro invasion assayによりマトリゲルへの浸潤能が濃度依存的に低下した。さらに傷つけアッセイにより細胞運動に対する影響を検討したところ濃度依存的に細胞運動が低下した。これらの分子機構を明らかにするために細胞内シグナル伝達物質で、細胞骨格や細胞接着を制御しているRho蛋白の発現量をウエスタン・ブロッティングを用い解析し、また、ゼラチンザイモグラフィーを用いてMMP-2、MMP-9の発現量を検討した。その結果、Rho蛋白の発現は認められたがConophylline添加群と非添加群とでは明かな違いは認められなかった。また、MMP-2、MMP-9の発現量にも違いは認められなかった。このことからマトリゲルへの浸潤能や接着能、細胞運動能が濃度依存的に低下し、細胞形態にも変化を認めた分子機構として、更なる解析が必要であるが、その一つとして細胞表面に発現される細胞接着受容体の変化につき解析中である。
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