本研究においては、子宮体癌の分化度と糖脂質との関係を明らかにする目的に於いて、まず、任意の糖脂質を子宮体癌細胞株の細胞膜上に発現させる系の確立を目指した。これに先立ち、まずglucosylceramideより合成される糖脂質の合成阻害剤であるD-threo-PDMPを用いて、子宮体癌細胞株の糖脂質組成がどのように変化するのかを検討することにした。まず、各濃度のD-threo-PDMP存在下に細胞増殖がどの程度影響を受けるのかを、XTT法を用いて検討した結果、10μM以下の濃度においてはD-threo-PDMPは子宮体癌細胞株SNG-Mの細胞増殖に影響を与えないことが確認された。従って、今後の実験系に於いてはこの範囲の濃度が適応されるべきであることが示唆された。 次に、各濃度におけるD-threo-PDMPの添加が細胞膜上の糖脂質組成にどのような影響を与えているのかをメタボリックラベリング法を用いて検討した。上記の濃度内でD-threo-PDMPを添加した場合における糖脂質組成の変化は一定しておらず、5μMの濃度に於いて最もその効果が大きいにように身受けられたが、曝露時間の問題など変化するパラメーターが複数存在するため、現在、各パラメーターを変化させながら最も糖脂質合成が抑制される条件を検討中である。
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