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1997 年度 実績報告書

卵巣癌細胞における癌関連ガラクトース転移酵素放出機序解明の試み-ステロイドホルモンの関与を中心として-

研究課題

研究課題/領域番号 09771303
研究機関慶応義塾大学

研究代表者

斉藤 英子  慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80255512)

キーワード卵巣癌 / 癌関連ガラクトース転移酵素 / 血清
研究概要

可溶型のガラクトース転移酵素(GalT)にはnormal GalTと癌関連ガラクトース転移酵素(GAT)の2つのサブタイプが存在し、両者は共通の膜結合型GalTに由来し、GATの方がnormal GalTより若干長い構造を持つ。ヒト血中の可溶型のGalTのうち、normal GalTは種々の疾患によって変動するのに対してGATは卵巣癌担癌状態でのみ特異的に上昇する。これまでの検討から我々はin vivo、in vivoの両者において卵巣癌細胞自身がGATを産生・放出しうることを明らかにしてきた。そこで今回、GATが放出される機序について検討した。(1)婦人科癌由来培養細胞株におけるmRNAの発現強度、細胞内のGalT量、また培養上清中に放出されたGATおよびnormal GalT量を検討したところ、全ての細胞種においてmRNAの発現強度と培養上清中のGATおよびnormal GalT量は共にも相関しており、いずれもが卵巣癌株において高値を示した。これに対して培養細胞中に含有されるGalT量は細胞種間での相違がほとんどなく、mRNAの発現強度を反映していなかった。(2)GATの標品に血清を添加したところ、血清濃度に比例してGAT量は減少し、一方可溶型GalTとしての総量に変化は認められなかった。また卵巣癌担癌患者の血清の方が健常人血清よりもGATの下降度が少なかった。よって血清の存在下ではGATはnormal GalTに変換される可能性がある。以上より、「卵巣癌細胞はmRNAの発現強度に従ってGalTを産生し、過剰のGalTは細胞外にover flowする。この際GalTはGATの形をとるが、血清中の何らかの因子によってnormal GalTに変換される」ことが推察され、卵巣癌担癌状態ではこの機序が阻害されるために血中GATが高値となると考えられた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 斉藤英子他: "腫瘍マーカーを用いた卵巣がん検診の試み-新たな腫瘍マーカーGATの有用性についての検討-" 産業衛生学雑誌. 39巻. S78- (1997)

  • [文献書誌] 青木大輔、斉藤英子他: "卵巣癌と糖鎖関連抗原" 医学と薬学. 37巻4号. 809-816 (1997)

  • [文献書誌] Eiko Saitoh: "Serum levels of β1,4-Galactosyltransferases released from human ovarian cancer cells transplanted into nude mice" International Journal of Gynecological Cancer. vol.7. 74- (1997)

  • [文献書誌] Sinich Komiyama,Eiko Saitoh: "A study on ovarian clear cell carcinoma associated with pelvic endometriosis" International Journal of Gynecological Cancer. vol.7. 78- (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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