研究概要 |
1.判定可能率の検討:卵巣癌88例、子宮体癌123例に対して臨床組織検体を用いたin vitro感受性試験法を実施した。薬剤無添加群の発色が不良であった例を除き、205例が判定可能であり、判定可能率は97%であった。 2.50%増殖阻害濃度(IC_<50>値)の測定:個々の癌組織は本法により、各使用薬剤(CDDP,ADM,taxol)に対し、それぞれ異なるDose Response Curveを描くことができ、IC_<50>値を求めることができた。 3.最適Cut off濃度の設定:臨床でのkey drugであるCDDPについて、最適Cut off濃度の設定を試みた。即ち、CDDPに対するIC_<50>値の分布から累積有効率曲線を作成し、その近似式に臨床有効率の文献的報告値を代入し、Cut off濃度を算出した。CDDP単剤の臨床奏効率を代入し、卵巣癌は25μg/ml、体癌は22μg/mlを得た。またCDDPと比較して高い奏効率を報告されているCAP療法の奏効率を代入し、卵巣癌は76μg/ml、体癌は45μg/mlを算出した。 4.感受性と臨床奏効度の相関の検討:測定可能病変を有し、臨床上CDDPをレジメンに含む化療を施行した症例について、本法においてCDDP単剤でも臨床で有効と予測された群を高感受性群(11例)、CAP療法でも無効とされた群を低感受性群とし、臨床奏効度を検討した。高感受性群ではComplete Response(CR)+Partial Response(PR)症例が81.8%(9例)であり、一方低感受性群では、奏効例はみられなかった。 5.原発巣と転移巣の薬剤感受性の差異における検討:十分な検体が採取できた5症例では、転移巣は原発巣に比べ、2倍から5倍感受性が低かった。
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