1 Zoster sine herpeteの早期診断 顔面神経麻痺疾患者の咽頭ぬぐい液中のVZV再活性化をPCR法で調べることにより、zoster sine herpete症例の早期診断が可能であることを明らかにした。さらに興味深いことには、初診時にBell麻痺と診断された症例の中に血清抗VZV抗体価の有意の変動が認められないzoster sine herpete症例があることを見いだした。 2 Bell麻痺とHSV再活性化 血清抗HSV抗体陽性のBell麻痺患者においてはその4割の症例で発症早期に唾液中にHSV-1が再活性化していることをPCR法を用いて明らかにした。その頻度は抗HSV抗体陽性のRamsay Hunt症候群またはzoster sine herpete症例や健常者における唾液中のHSV-1の検出頻度と比較して有意差がみとめられ、HSV-1が麻痺発症に関与していることが疑われた。 3 ヘルペスウイルス再活性化例の臨床検討 VZVまたはHSV-1再活性化が認められた症例の臨床上の特徴を調べたところ、麻痺の予後については大きな差異は認められなかった。歯科治療後に発症した顔面神経麻痺はすべてヘルペスウイルス再活性化例であることが明らかとなった。 4 ウイルス迅速診断法の開発 (1)臨床材料からのDNA抽出法の検討 従来のクロロフォルム・フェノール法、市販の核酸抽出キットを使用する方法について、その感度、簡便性を検討したが、大きな差異はみられなかった。 (2)高感度PCR法の開発 ヘルペスウイルス感染を迅速に診断できるsingle tube nested PCR法の検討を行い、プライマーの設定後、温度条件の設定などを追加検討中である。
|