1) in vitro系におけるNHEの細胞生理学的検討 動物から内耳の血管条を摘出して、血管条の辺縁細胞の頂膜と側底膜ジャイアントパッチを施し、広範囲にわたり生体膜の内外のイオンと電気的環境を自在に変化させ、HNEの反応を検討した。同時に蛍光指示薬を導入して細胞内pH濃度を顕微蛍光画像解析法によって測定した。特異的な阻害剤であるamiloride及びその誘導体を用い、濃度-阻害曲線を求めた。これらより、Na-H exchanger (NHE)によるHとNaイオンの輸送はin vitro系でNHE-1によることが直接証明された。 2)内耳の血管条からのNHEの検出 既存の4種類のNHEからdegenerate PCRプライマーを設計する。内耳の血管条からmRNAを抽出してcDNAを作製し、これに対してPCRを行う。予想された大きさのPCR産物をサブクローニングし、シークエンス検索から構造物を決定した。 3)NHEのシークエンスの同定 血管条より検出したNHEのPCR産物の塩基配列をしらべ、NHE-1であると判明した。 4)in-situ hybridizationによる局在部位の同定 このin-situ hybridization法によりNHE-1のmRNAの発現を内耳で同定した。主に、辺縁細胞、ラセン神経節、有毛細胞に多く存在した。
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