研究概要 |
音響性聴器障害とその治療に用いられるステロイド剤との関連を明らかにする目的で音響負荷前後のモルモット蝸牛におけるグルココルチコイドレセプター(GR)mRNAの発現量の変化を分子生物学的手法を用いて定量的解析を行い以下の結果を得た。 110dB SPL,10分負荷では有意な変化を認めなかったのに対して,120dB SPL10分負荷では負荷2時間後に有意な低下を,130dB SPL,10分負荷では負荷直後より低下傾向を認め6時間後に有意な低下を認めた。音響負荷24時間後におけるGR mRNA量は120dB,130dB負荷群いずれにおいても負荷前のレベルに復帰しており,一過性のdown-regulationが存在するものと考えられた。GRに関しては外因性のグルココルチコイドによるdown-regulationが報告されているが,今回得られた結果が同様のメカニズムによるものか否か,また低下したGR mRNA量がグルココルチコイドの治療効果とどのように関連しているのかは今のところ、明確でない。 今後は音響負荷後のGRの発現量の変化を免疫組織化学的手法を用いて明らかにすること及びグルココルチコイドの内耳液,内耳組織への移行性を検討する予定である。
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