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1998 年度 実績報告書

免疫異常に伴う急性感音難聴と蝸牛血管内皮細胞障害の関係について

研究課題

研究課題/領域番号 09771378
研究機関慶応義塾大学

研究代表者

井上 泰宏  慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (60193611)

キーワード免疫異常 / 急性感音難聴 / 蝸牛血管内皮細胞 / モデル動物 / サイトカイン
研究概要

MRL/lprマウスは加齢とともに免疫異常を発現し、生後20週令から感音難聴が生じることが報告されている。我々の施設においても、クリック音刺激によるABRを用いて、この聴力閾値の経時的変化について検討したが、現時点まで明らかな聴力閾値の上昇は認められていない。一方、組織学的検討では、これら閾値上昇を認めなかったマウスにおいても、抗マウス免疫グロブリンによる免疫染色で、蝸牛血管条に1gGの沈着が認められたことから、免疫複合体が血管壁周囲に存在することは明らかであると考えられるが、細胞浸潤などを呈する典型的な血管炎の像を示したものは認められなかった。従って、単に免疫複合体が血管壁に沈着するだけでは血管炎による蝸牛機能障害が生じることはなく、別の新たな刺激が加わることで障害が生じる可能性があると考えられた。
そこで昨年度は、インターロイキン1(IL-1)、腫痛壊死因子(TNF-α)、γ-インターフェロン(γ-INF)等の炎症性与イト力インをMRL/1prマウスおよびBALA/cマウスの蝸牛において外リンパ潅流することにより、難聴を生じさせることを試みたが、マウスの蝸牛は我々が外リンパ潅流の実験に通常用いているモルモットにくらべて小さく、脆いため、外リンパ潅流の成功率がきわめて低かった。
今年度の実験では、これら炎症性サイトカインを蝸牛外リンパ腔に連続する髄液中に投与することによって生じる変化を検討したが、難聴の発現は明らかではなく、蝸牛血管内皮におけるICAM-1の変化にも一定の傾向は認められなかった。このことから、単なるサイトカインの変化だけでは難聴を生じさせることは困難であると判断し、現在、一側の内耳を破壊して、内耳組織による抗原暴露を行うことで、MRL/1prマウスに難聴を生じさせる実験を継続中である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Y.Inoue et al.: "Hearing in the MRL/lpr mouse as a possible model of imnucne-mediated sonsorineural hearing less" Eur Arch.otorhinolarpngol. 255. 240-243 (1997)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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