垂直方向の視運動性眼振(OKN)、後眼振(OKAN)について我々は、正常成人でOKNの利得、OKANの初期速度(IV)および時定数(TCs)を検討した。被験者の頭部に磁場誘導ヘルメットをつけて、被験者の頭位を自由に変換できるようにし、動的な状態でOKANのIV、TCsの変化を解析し、さらに、今回は眼球運動はサーチコイルで記録、三次元でとらえて解析することができるシステムをつくり、重力方向の変化がOKANのIV、TCsに対してどのように現れるかを垂直、水平、回旋の三次元で計測することを目的とした。今年度は、(1)被験者の頭部に装着する磁場発生装置および磁場誘導ヘルメットを開発した。現有の、1)視覚刺激装置(第一医科)、2)眼球運動記録用サーチコイルシステム、3)視覚刺激投影用半球型スクリーンを利用し、被験者の頭部に磁場発生装置および磁場誘導ヘルメットを装着して、被験者の頭位を自由に変換できるようにして、動的な状態で眼球運動の変化を検討した。さらに(2)三次元限球運動記録のため、従来に二次元記録サーチコイルシステムを改良し、三次元記録システムとし、(3)眼球運動の記録、データ解析に、新たに高速で演算処理の可能なパソコンを導入した。 尚、被験者として正常成人20名を対象に、垂直方向の視運動性刺激をステップ刺激30〜90°/Sで与えてOKNの利得を算出、さらに、視運動性刺激の後に暗所にしてOKANを検討した。これらの結果について、第18回日本平衡神経科学会(松本市、信州大学主催)において発表した。
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