古典的条件付けによる耳鳴りモデル動物の作製 モルモット、ラット、マウスを用いて、耳鳴りの音を条件刺激とする条件付けを行った。 条件刺激を用いる純音の周波数を決定する為に、動物の聴力閾値を聴性脳幹反応(ABR)を用いて、各周波数別に測定を行った。12kHzの純音に対する応答が最も鋭敏であり、その閾値も最も低くなった。人においては通常、最も聞き易い音は1kHz周辺であり、耳鳴りは高い周波数のものが多く、その周波数は4kHz、8kHzである。したがって動物においては16kHzや20kHzの音を条件刺激の純音として用いるべきであることが解った。 この条件で、初回の条件付けにより良好な反応を得られるようになった動物でも、一定の休みの後には、その応答が失われてしまう事が多かった。通常は条件付けの回数を重ねることにより応答の確率は上昇してゆき、条件付けが強固となる。しかし、今回の条件では、複数回に渡り、条件付けを行っても、その応答確率は上昇していかず、逆に条件付けを重ねるにつれて、応答の確率は悪くなっていった。 条件付けを行った動物が、実験後に静かな環境においておくだけで、自己の中より生じていると思われる耳鳴を認知してしまい、常に条件刺激にさらされることとなり条件反射が失われることが考えられた。 これらの結果より、実験と実験の間の時間は、何某かの遮蔽音を動物に与え続ける必要がある事が解り、今後は条件刺激を与えている時以外は常に、実験後も遮蔽音を与え続ける事のできる実験系を作製して、さらに確実な応答をするモデル動物の作製を続ける予定である。
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