自色家兎の一眼に20μlの各種ナトリウム利尿ペプチド溶液を、他眼に対照液を硝子体内投与した。C型ナトリウム利尿ペブチド(CNP)0.02nmol投与では有意の眼圧下降を認めず、0.2nmolでは3〜8時間にかけて有意の眼圧下降を認め、2nmolでは投与後2〜24時間にわたる著明な眼圧下降を認めた。一方、ANP(心房性)では、0.2nmolでも有意の眼圧下降を認めず、2nmolで2〜6時間の間有意の眼圧下降を認めた。BNP(脳性)でも、0.2nmolでは投与6時間後以外有意の眼圧下降を認めず、2nmo1で3〜24時間の間有意の眼圧下降を認めた。最大眼圧下降幅でみると、CNPは0.02nmolでもすでに23%の眼圧下降をきたし、0.2及び2nmolでもANPやBNPに比べ大きな眼圧下降が得られた。2nmolCNP投与後、房水流出率は36%増加したが、房水流量やぶどう膜強膜流量にほ有意の変化を認めなかった。BNPでも房水流出率のみ有意の変化を示したが、その増加率は29%であった。房水中のサイクリックGMP濃度は、BNP同様CNP投与後も有意の上昇をきたし、特に2nmolCNPでは著明な上昇を認めた。CNPは他のナトリウム利尿ペプチド同様、眼圧下降、房水流出率の増加、房水中サイクリックGMP濃度の上昇をきたし、これらの作用はナトリウム利尿ペプチド中最も強力であった。ナトリウム利尿ペプチドのB受容体が、CNPに高い親和性を有することより、B受容体がウサギにおいて眼圧、房水動態に関与する主要な受容体であることが示唆された。房水中サイクリックGMPの意義については未だ不明であるが、細胞内のサイクリックGMP濃度を反映している可能性も十分考えられる。以上より、ナトリウム利尿ペプチドが、B受容体、サイクリックGMPを介して眼圧、房水動態に作用していることが推定された。
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