-緑内障患者とステロイド反応性眼圧上昇者におけるTIGR遺伝子異常の検討- TIGR遺伝子(trabecular meshwork inducible glucocorticoid response gene)は若年性緑内障患者の家系で発見された緑内障の原因遺伝子である。これは線維柱帯に対するステロイド反応性により分離された遺伝子でステロイド反応性眼圧上昇者における変化はこの遺伝子の働きを推測する上で重要と考えられる。そこで当科に通院中の緑内障患者(原発開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障)およびステロイド反応性眼圧上昇者より血液を採取し、すでに若年性緑内障患者の家系で報告されているTIGR遺伝子のmtl部位のプライマーを使用しPCR法で目的遺伝子を増幅し、SSCP法にて変異を解析した。結果はTIGR遺伝子のmt1の部位において8人の原発開放隅角緑内障患者のうち4人に、また7人の正常眼圧緑内障患者のうち2人に変異を認めたにもかかわらず、ステロイド反応性眼圧上昇者15人にはこの部位の変異は認められなかった。この結果によりTIGR遺伝子のmt1部位は遺伝子の発現を制御する何らかのプロモーターの役割をしていると考えられた。 この研究は1998年5月にアメリカで行われる視覚と眼科学研究協議会会議(ARVO)で発表する子定である。現在ステロイド反応陰性者において、この遺伝子の解折を行っている。
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