研究概要 |
純系ラットを用いた同所性同種全層角膜移植の手術手技の再確認を行った。ドナーであるDAラットの角膜中央部から直径3mmの円形の全層移植片を採取した。レシピエントであるLEWラット角膜中央部を直径3mmのトレパンで打ち抜いて前房維持のために水晶体の上に粘弾性物質を滴下しドナー移植片をレシピエントに乗せてこれを10-0ナイロン糸を用いて2箇所端々縫合を行った。この操作で移植片を固定し,次いで同じく10-0ナイロン糸を用いて8針連続縫合を行った。手術終了時に人工房水にて前房を形成し、さらに感染防止のための抗生物質眼軟膏を点入した。術後の前房の形成は良好で、移植片は術翌日には透明化し虹彩癒着もほとんどの例で生ぜず、手技的に全層角膜移植モデルとして問題ないものであった。 術後全層移植片の混濁、移植片への血管侵入の程度を経時的に観察し瞳孔が透見不能となる程度の混濁をもって移植片の拒絶と判定し、生着期間を日数で求めた。 移植片は3週間以内に移植を行った全例で拒絶され、平均生着期間は14日であった。 また比較のために同種同型移植としてドナー、レシピエントともにLEWラットを用いた全層角膜移植を行ったところ、全例で拒絶を生じなかった。ドナー移植片の生着延長を目的とした紫外線照射装置作成のためPhilips社製のUV-B tubeを使用する予定であったが入手困難であったため他社製品を使用するべく現在入手方法を検討中である。
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