研究概要 |
純系ラットを用いて同所性全層角膜移植を行った。前回の報告と同様にドナーであるDAあるいはLEWラットの角膜中央部から直径3mmの全層角膜移植片をトレパンにより採取した。レシピエントであるLEWラットの角膜中央部に前回の報告と同様に10-0ナイロン糸により連続縫合により縫着した。 まずドナーとしてDAラットを用いた場合,即ち同種異型移植においては全例で20日以内に角膜移植片は拒絶された。ドナーとしてLEWラットを用いた場合,即ち同種同型移植ににおいては全例100日間移植片は拒絶されることなく生着した。ドナーとしてあらかじめ300nmにピークを有するmonochromatic UV-B radiationを行った場合,90%以上において術後100日以上の生着が得られた。この効果を発揮するには150mJ以上の照射が必要であった。 また上記出力において照射24時間後の角膜内皮の状態を調べるために移植に供した移植片とは別個に培養液中で保存したドナー角膜の内皮の状態を品confocal microscopeで検討したところ,この出力において内皮細胞の脱落はほとんど認められなかった。 UV-B照射を受けた角膜を生着させたラットの脾細胞をnaiveのLEWラットに経静脈的に移入し無治療の(UV-B照射を受けていない)DAラット角膜を移植したところ,移植片の生着延長効果は確認されなかった。これは脾細胞がthird party allograftの系に移入された場合にも同様であったので移植片生着延長効果はUV-B照射を受けたドナー角膜組織そのものの免疫原生が照射により何らかの修飾を受けたと考えるのが妥当と思われ,その点をまずin vivoで間接的に根拠づけるため角膜移植片のみをallogaftとして用いるsecond-set rejection modelに関する実験を計画中である。
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