研究概要 |
・熱ショック蛋白によるぶどう膜炎の体液性免疫動態 ルイスラットをHSP-65,-60およびそれらの合成ペプチドで免疫し,免疫後7日後から経時的に血清を採取した。ぶどう膜炎の発症がみられる14日目を含む28日めまでの血清標本において,上記の抗原に対する抗体価を酵素特異的免疫染色法(ELISA)によって測定した。抗体はIgGとIgAの両者を測定し,粘膜免疫に特徴的なIgAの関与がどの程度あるか検討した。その結果,ぶどう膜炎を発症させるペプチドは4つであり(111-125,311-326,136-150および336-351),ペプチド免疫により発症したラットと発症しなかったラットとの比較では発症したラットに有意に高い抗体価が見られた。HSP-60免疫ラットの時系列的解析では111-125,154-172および311-326に対するIgG抗体の上昇が見られ,IgA抗体は早期に上昇するが高値に達するのは311-326のみであった。ELISAの阻害試験による免疫原生のあるエピトープの解析では,HSP-60に対するIgG抗体はペプチド111-125,311-326,336-351および154-172とエピトープの共有が見られ,IgA抗体はペプチド311-326と336-351とがエピトープを共有していた。これらの結果からこの実験モデルの液性免疫に関するエピトープが明らかにされた。T細胞エピトープと共有のものもあるが,異なるものも含まれ,アミノ酸の立体構造もその要因に含まれると考えられる。
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