研究概要 |
本年度は、Isograft,allograftモデルを用いて、移植角膜局所におけるサイトカイン、サイトカインメッセージの発現(IFN-γ,IL-2,IL-4,IL-10)および、前房水、角膜組織におけるサイトカインおよびサイトカインメッセージの発現を検討で、全層角膜移植における眼局所のTH1、TH2バランスを明らかにすることを目的として研究を行った。結果として、免疫組織学的および遺伝子転写レベルの検討え、マウス全層角膜移植モデルの拒絶反応発生時は、移植角膜においてTh1サイトカイン優位であり、その状態は更に2-3週間経過しても変わりは無かった。また、同時期の前房内細胞についても検討したところ、前房内細胞のサイトカイン発現レベルも角膜のものとほぼ同様であった。但し発現細胞数は、局所の免疫反応に対して前房内細胞の方がより敏感に反応し、その局面をよりよく反映していた。 免疫抑制実験としては、抗LFA-1抗体と抗VLA-4抗体の併用投与でアログラフトモデルにおいて免疫学的寛容が約50%で得られることが判明した。また抗LFA-1抗体とFK506の併用投与でラット、マウス異種移植において相乗効果の得られることを明らかにした。しかしながらこれまでのところアログラフトモデルにおいて抗B7-1抗体と抗B7-2抗体併用による拒絶反応抑制効果は、他の臓器で示されているのと同等の有効性は角膜移植では明らかとなっていない。
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