骨や歯等の硬組織を吸収する破骨細胞(破歯細胞)は多核の巨細胞であり、細胞融合により多核化することが知られている。しかし、その細胞融合と多核化に関して詳細に記載した報告はこれまでに殆どない。本研究では、破骨絹胞の厚さ0.5μm間隔の連続準超薄切片を作製し、その融合像をコンピューターを用いて立体復構し、三次元的に観察したものである。平成9年度、10年度の研究において、ヒト乳歯上の破骨細胞における融合像の三次元復構像を詳細に検討した結果、破骨細胞の多核化のための細胞融合に関して、細胞融合は以下の3つの場合;(1)単核の破骨細胞と単核の前破骨細胞間、(2)単核の破骨細胞と多核の破骨細胞間、 (3)多核の破骨細胞と多核の破骨細胞間において見られることが明らかとなった。 これらの結果から、本研究では、破骨細胞の多核化のための細胞融合は、単核を含む様々な破骨細胞間で融合が起こることが初めて明らかとなった。さらに、本研究では、3個の多核の破骨細胞間に細胞融合像が見られたことから、細胞融合は2個の破骨細胞間においてのみ起こるのではなく3個以上の細胞間においても起こることも明らかとなった。本研究で観察された細胞融合例は、いずれの場合においても吸収中の破骨細胞間において見られたことから、多核化のための細胞融合と吸収に何らかの関係が示唆されるが、この関係に関しては今後解明する予定である。
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