研究概要 |
胎生16日齢ラット頭蓋の骨原性細胞を培養し形成される石灰化結節中には骨細胞に類似した細胞が観察されるとともに基質はI型コラーゲンとオステオポンチン,骨シアロプロテイン,オステオカルシン等の骨の非コラーゲン性タンパクが局在することが微細構造学的,免疫組織化学的に観察された.次に,同様の培養系にosteogenic protein-1(BMP-7)を添加すると培養後3日でアルシアン青にそまる基質中に大型の円形細胞が集落を形成する.この基質は7日から14日でアルシアン青の染色性が低下するとともに石灰化することがX線マイクロアナライシスで明らかとなった微細構造学的,免疫組織化学的に検索すると,この結節を構成する細胞は軟骨細胞に類似した細胞と骨芽細胞に類似した細胞とが観察された.さらに,石灰化基質もオステオポンチン,骨シアロプロテインを多く含む部分とオステオポンチン,骨シアロプロテインと免疫反応を示さない部位があり,この培養系で形成される石灰化基質は石灰化軟骨に類似した部位と骨に類似した部位が混在した.このことはアルシアン青に染まる基質を形成した軟骨細胞が骨粘芽細胞の形質を持つようになる可能性を示唆している. さらに,軟骨細胞の分化と基質の石灰化を検索するため石灰化抑制のあるビスフォスフォネートをin vivoで投与(40mg/kg/日,7日)し,骨端板軟骨の観察を行った.ビスフォスフォネートの投与により骨梁の走向に乱れが生じ,軟骨基質と軟骨細胞が骨梁中のそのまま残る部位が観察される.このような軟骨細胞にはI型コラーゲンやオステオポンチン,骨シアロプロテイン,オステオカルシンなどの骨の非コラーゲン性タンパクの局在が免疫組織化学的に検出され,in vivoにおいても軟骨細胞が環境によっては骨芽細胞の形質を持つようになる可能性を示唆している.
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