RT-PCR法を用いて胎生12日のマウス胚より、LIMホメオドメイン遺伝子ファミリーに属する遺伝子L3を単離し、pCRIIプラスミッドに組み込んで、アンチセンスおよびセンスRNAプローブを作成した。センスプローブは対照実験に用いた。これらのプローブについては、電気泳動によりその分子量を調べ、正しいプローブであるかを確認した。胎生12日以降のICRマウス胎仔の頭部を通法に従い10μmのパラフィン薄切切片とし、プレパラートに貼付し、ディゴキシゲニン(Dig)にてラベルされたプローブにより、ハイブリダイゼーション反応を行い、L3の発現と消長を検索した。 歯胚発生の時期によるL3遺伝子の発現の程度の変化を、胎生12日以降の歯胚について、発生段階に応じて比較検討した。胎生12日の蕾状期歯胚の間葉にわずかに、歯乳頭先端部にDig陽性反応が認められ始め、胎生16日の帽状期歯胚の歯乳頭歯冠部に広範囲に最も強く認められた。胎生20日の鐘状期歯胚の咬頭部分にわずかなDig陽性反応が認められた。 以上より、本年度はまず、L3遺伝子は歯の発生段階に応じて、部位及び時期特異的に発現することが示され、歯の発生にL3遺伝子が重要な関連があることが示唆された。
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