研究概要 |
ロイコトキシン発現の調節がトランスクリプションレベルで行わせていることから,臨床分離株,Actinobacillus actinomycetemcomitans301-b株のプロモータ領域をクローニングした。このプロモータ領域のシークエンスから,次のことが分かった。 1,301-b株のプロモータ領域塩基配列はminimally toxicといわれている652株のものと高い相同性を持っている。既にシークエンスされている,652,ATCC33384,Y4,JP2,のなかでプロモータのタイピングを行うと,JP2のみが他の菌株が持っている配列のデリーションが存在し,他のものと著しく異なり,2つのグループに分けることができる。 2,このプロモータ領域には,RNAポリメラーゼσ因子のコンセサス配列が3箇所あり,そのうち2か所の上流にはCRPのコンセサス配列が存在していた。 さらに,実際の転写開始点を決定するため,プライマーエクステンションを行った。転写開始点は,ロイコトキシンの構造遺伝子から約860bp上流であること,この開始点近くにCRPのコンセサス配列が存在することが明らかになった。 実際に,CRPとプロモータ領域の相互作用を解析するため,A.actinomycetemcomitansのCRPのクローニングを試みた。既にクローニングされているCRPのアミノ酸配列から菌株間でよく保存されている部分でディジェネレートプローブを作成し,A.actinomycetemcomitans301-b株のゲノムDNAをテンプレートとしたPCR産物をクローニングした。このシークエンスは他の菌株のCRP遺伝子と高い相同性を持っている事が分かった。 現在,これをプローブとしてA.actinomycetemcomitans CRP全遺伝子のクローニングを試みている。
|