破骨細胞は個々に骨吸収サイクルをもっており、骨吸収サイクルに伴って形態変化を生じることが知られている。しかしながら、どのようなものがその形態変化に影響するのかはよくわかっていない。そこで、新生ラットより分離した破骨細胞をHEPES緩衝培養液を用い、37℃に保たれた保温箱内で位相差顕微鏡下で経時的に形態変化を調べた。また、倍溶液中に神経ペプチドであるサブスタンスPならびに対照としてカルシトニンを加えた場合どのような形態変化を生じるのかを検索した。培養液中に10^<-8>MサブスタンスPもしくは50mU/mlカルシトニンを培養液に添加した結果、カルシトニン添加時には添加5分後で細胞の収縮が生じ平均約15%の面積の減少が見られた。一方、サブスタンスP添加群では添加後約15分で約4%の面積の増加が認められた。破骨細胞にはサブスタンスPレセプターが存在することが知られており、今回のサブスタンスP添加時に見られた細胞の伸展はサブスタンスPレセプターを介して生じたものと考えられる。また、プロテインキナーゼCの抑制剤であるスタウロスポリンをサブスタンスPと同時に加えた場合は細胞の伸展は生じなかった。これらの結果より、サブスタンスPは破骨細胞の表面にあるサブスタンスPレセプターに結合し、プロテインキナーゼCを活性化させることにより細胞の伸展が見られたことが考えられた。従って、サブスタンスPも破骨細胞の骨吸収サイクルに関与していることが示唆された。
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