研究概要 |
口腔扁平上皮癌由来細胞株-SASと骨肉腫由来細胞株-Kikuを用い、これらの細胞株の通常の条件下と熱ストレス付与時のheat shock protein(hsp)の発現量を正常口腔上皮、および線維芽細胞と比較検討した。その結果、正常細胞では通常の条件下でもhsp27、70、90の発現が観察され、熱ストレス付与ではその発現量が増強されていたのに対し、SASとKikuでは、熱ストレス時にも発現量が弱く、hsp27の発現はほとんど認められなかった。また、SASとKikuは熱ストレス41〜43°Cでは、cycline dependent kinaseであるp21/waf-1,p27/kip-1を介した細胞増殖抑制効果が観察され、同時に細胞の一部はアポトーシスになっており、44°C以上ではネクローシスに陥ることが明らかとなった(第40回歯科基礎医学会、第87回日本病理学会で発表)。次に、SASとKikuのhsp27の発現を増強するためにhsp27の遺伝子導入を行った。リン酸カルシウム法によるhsp27の遺伝子導入を試み、RT-PCR法およびwestern blot法により安定したhsp27の発現が確認された。現在、これらの細胞株を用いて、血清除去によるものとスタウロスポリン(ST)添加によるアポトーシス誘発の実験で、特にアポトーシスの証明とアポトーシス率の解析を行っている。
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