研究概要 |
破骨細胞は、正常な骨の発達や骨粗鬆症などの骨代謝疾患に大きく関与している。しかし、破骨細胞は存在量が少なく、また、培養株細胞が存在しないため解析はこれまで困難であった。そこで、我々は成熟破骨細胞のみでの骨吸収を測定する方法を開発し、この方法を用い破骨細胞における細胞増殖因子・脂溶性リガンド作用の解析を行った。 本年度は、ビタミンDは破骨細胞による骨吸収を誘導するが、直接作用はなく、ストローマ細胞を介していることを明らかにした。さらにヘッジホッグタンパク質が破骨細胞に直接作用し、また、ストローマ細胞でビタミンDはヘッジホッグ遺伝子発現を誘導することを見い出した。このことから、ヘッジホッグはビタミンD依存的破骨細胞活性化因子であると考えられ、ビタミンDとヘッジホッグの情報伝達のクロストークの存在する可能性が考えられた。 さらに、これまでレチノイン酸の前駆体と考えられていたレチノールがレチノイン酸とは異なったメカニズムで破骨細胞に作用することを見い出した。さらに,未知のレチノール誘導性遺伝子が破骨細胞に発現していることを示した。さらに、プロスタサイクリンやカルシウムに対する受容体が破骨細胞に存在し、これらが直接破骨細胞に作用することを示した。 次年度は、破骨細胞においてこれらの因子の複合作用をまず検討し、各因子の受容体の機能と併せて解析する。
|